それから、
さっき、あのコに話しかけられた場所に戻ったけれど、
すでにあのコはいなかった。
なんだ。
べつに心配なんてするんじゃなかった。
からかわれたんだ、わたし。
ナンパされるなんて久々だったから、舞い上がっていたのかもね。
ばかばかしい。
帰ろ。
そんなわたしの姿を、どこから見つけ出してくれたのか、
気がつくと、あのコが目の前に、微笑んで立っていた。
『お姉さん。やっぱり僕とデートしてくれる気になった?!』
にっこり微笑んだその顔には、まだあどけなさが残っていた。
『デート‥‥???』
『うん。』
笑顔がかわいい。
高校生の男のコに、かわいいってのは失礼かな。
わたしは少し考えながら、
『いいよ。デート‥‥しようか?!』
結局はOKしてしまった。