「あ、危なかった〜」ふ〜っとため息をついて片膝をつく。しかし「ユータ!?」ハッと顔をあげると、二階へ続く階段に向かって駆け出した。
こちらは苦戦していた。
ギュギャギャ…舌をベロっとなめて大猿は笑った。
このガキは弱い。自分の直感がそう告げていた。
「ふぅ…ふぅ…これが実戦すかぁ…」切り裂かれた服の下から血が出ている。
「でも…諦めるのは嫌いなんすよねぇ…」布帽子をぐっと深くかぶりなおす。
「そろ?修業の成果見せますか!」すらりと抜かれた剣から青白い光が出始める。「雷神よ…力を…」
シュバッと駆け出したユータのスピードは並ではなかった風のように早く夢魔に向かって突きを繰り出す。真っすぐに突き刺さった青白の刃の光が激しくなる。「尖雷!!」降り注ぐ雷。まばゆい閃光。光がやんだとき、夢魔は姿すら残っていなかった。