その時、マーガレットが顔を見せた。
「旦那様、18分警察署のモグレ警部様からお電話が入っておりますが」
「後で私の方から電話するからって、伝えておいてくれ」
「それが…緊急の報告があるから、大至急出て欲しいとの事です」
「大至急だって?
いったい何だろう?」
「ローズマリーとか言う人形の事でお話があるようです」
まさか!
ルークとジョージの表情が固くなる。
「分かった。すぐに電話をこの部屋に回してくれたまえ」
「かしこまりました」
――――――――
スーツ大学構内は夜だと言うのに、慌ただしい状況になっていた。
「緊急事態です!
構内に残っている全ての職員、学生諸君は全員、速やかに学校外へ退避して下さい! 繰り返します…」
非常事態を告げるアナウンスがキャンパス内に流れる。
多くの学生たちが警察官に誘導されながら学校外へと出て行く。
各門には警察たちによって立ち入り禁止のロープ張られ、中への立ち入りが出来ないようにガードされていた。
上空にはいつの間にか、取材ヘリや警察のヘリが飛び回っている。
普段は比較的静かな大学界隈も、今夜だけは物々しい雰囲気に包まれていた。
4号研究棟の警備室に陣取っているモグレ警部や部下たち…
外にいる警官たちを動かしていたマーティ巡査が戻って来た。
「警部、学校関係者の避難はまもなく完了です」
「分かった。軍の第1首都治安部隊が来たら、誘導してやってくれ」
「え? 軍が出動するんですか?」
「事態を重視したトイプードル首相が、首都公安局に指示したそうだ」
「わざわざ軍を呼ばなくても、我々だけで始末出来るのにィ」
「首相直々の判断だ。
何か考えが、おありだろう」
「そうですか。引き続き、任に当たります」