「修二くん!」
教室を出てすぐ、後ろから声がした。
振り返る。
少し下のほうに女の子が立っていた。
背は低めで、肌の白く、見た目は可愛い子だった。
正直、俺は可愛いと思う。
誰だろうか。
こんな子、知り合いにいた覚えがなかった。
「えっと…」
「あっ、名前知らんよね。同じクラスの早瀬って言うねん。覚えといてね。」
早瀬が笑いながらいった。
思い出した。
そういえば、2年になってからのクラスにいる子だ。1年のときには見たことなかったからわからなかった。
「えっと、それで、何かな?」
「1週間前、修二くん終礼のあとすぐ別のクラスの悠くんと帰ったやろ。その日先生がプリント取りに行っただけで終礼終わってなかってん。やから、そのプリント預かってたから。はい、これ。」
早瀬がプリントを差し出してきた。
「ありがと。でも、これ1週間前もらったんだよな?」
「えっと〜、ごめんなぁ。忘れててん。」
早瀬笑いながら言った。
こんなふうに笑う子に文句言えるやつなんているんだろうか。
「いいよ。先帰った俺が悪いんだしな。ほんとありがとね。」
「ううん、あたしこそ遅れてごめんなぁ。」
「んじゃまた。」
そういって今度こそ、俺は道場にむかうことにした。