「馬鹿なっ!」
グラムは目を大きく見開いて、闇の波動が回転しながら障壁を削ってゆく光景を、信じられない思いで見つめていた。
「お前が創ったものが光の障壁だからだ。同じ闇の障壁だったら、逆に闇と闇が溶け合ってしまい、壊す事は出来ても削る事はできなかっただろう」
「く…」
グラムは悔しそうな表情で唇を噛み締めながら、剣を握る拳を震わせた。
その瞬間、グラムの背後から凄まじい光のエネルギー波が湧き上がって、闇の波動を消し去った。
「何っ!?」
ラトや他の騎士達はその光景に驚きの表情を浮かべた。
「…」
ロザラムは厳しい表情で、グラムの背後から現れたフードの人物を見つめた。
「…」
フードの人物はゆっくりと歩きながらグラムの前に出ると、剣を構えた。
「…おい、あの野郎は俺の獲物だ。俺に片付けさせろ」
グラムはフードの人物をジロリと睨んで、その人物の前に立った。
「…礼は言っとく。ただ、もう助けるような真似はしないでくれ…」
「…」
フードの人物はそれを聞いて、ゆっくりと剣を鞘に収めると、静かに後ろに下がった。
「さあて…ロザラム。決着をつけようか…」
「…いいだろう」
ロザラムは頷いて、剣を静かに構えた。