「手術の準備が、出来ました。」
「じゃあ、始めよう。」
「優美さん、何の匂いが、好きですか?」
「イチゴの匂いが、好き。」
「イチゴの香りが、しますよ。」
「ホントだ。」
先生の声や看護婦さんの声とかが、うっすらと消えてゆく。
……………‥‥‥……。
浩輔が、帰って来た。
優美の個室が、開いていたので、他の看護婦さんに聞いてみた。
「あの、すみません。楠木優美って言う名前の人どこに行ったか、分かりますか?」
「あなたが、楠木さんの彼氏さんですか?」
「はい。そうですけど。」「楠木さんね、今、手術をしてる所よ。」
「何でですか?」
「私にも、分からないけど‥。」
「楠木さん、もう、30分くらいになるわよ。
大丈夫だろうか?」
「失礼します。」
手術中って書いてある所を見ると、まだ、光ってる。
「もう、2時間になるなぁ…。」
………‥手術の中。
「血液が、足りない。」
「田辺くん、輸血。」
「はい。」
「看護婦さん、優美の手術は、成功ですか?」
「まだ、分かりません。」
そして、1時間になる。
「まだ、終わらない。」
30分、経った。
手術中って書いてある所を見ると、ランプが消えている。
先生が、来た。
その後ろには、優美が、運び込まれている。
「先生、優美は、大丈夫なんですか?」
「はい。大丈夫です。でも、意識が戻るか、私にも分かりません。」
「優美さんが、生きたいって思えば、意識が戻ると思います。」
「優美、しだいって事ですよね?」
「はい。そういう事になりますね。」
「ありがとう御座いました。」