「…っくし!」
…やべっ、風邪引いたかな?
うーん、やっぱまだ秋だからって布団一枚でソファーの上で寝るってのは幾分チャレンジャー過ぎたか。
「…今…何時だ…」
傍の時計を覗く。
4時05分
うわ…随分と時間経っちまったなぁ。
「たく…考え事するとすぐこれだよ…」
極端から極端に走りすぎなんだよなぁ、俺。
「今から寝ても明日絶対起きれねぇなっと…よっと…」
ソファーから起き上がる。
「散歩すっか…」
そう呟きながら上着を羽織り俺は外に出た。
綺麗な夜だった。
闇を月の光が何処までも照らしている。
この時間の森を歩くのが俺は好きだった。
月が最も闇を侵食している時間。
真と異の存在を体現したかのような漆黒。
よく今ぐらいの時間に家から抜け出して叔父さんや叔母さんに怒られたものだ。
だが、独立し麻衣と二人暮らしになってから夜の散歩には行かなくなった。
別に麻衣の監視が厳しいから行かなくなったわけではない。
ただ…。
ガサ…。
「…」
何か…夕方と同じパターンな音が聞こえたなぁ…。
音がした方を見る。
誰かは分かるけど…。
「はぁ…おーい、いつまでも隠れてないでさっさと出てこいよぉ」