望んだのは空で
手に入れたのは海の色
鮮やかに続く空の碧は
遠く遠く遠く
掌に掬い上げて
硝子の瓶に閉じ込めた世界は
静かに波打ちながら
光すら残しはしないままに
割れて消えてしまった
淡い桃色の貝殻を拾い
小さな小瓶に手紙と共に
一つだけ詰め込む
波飛沫を立てて
波打ち際に落とした瓶は
満ち干に合わせて
何度も戻りながら
遠くへ掠われていくだけ
何度閉じ込めても
手に入りはしないのは
分かっていた事なのだと
小さな溜め息で
淡く儚い光と
空を映した水面が揺れた
結局有限である事には
もし全てを知ったとしても
変わりはしないのだから
鮮やかに映る貝殻は
波打ち際で波に揺られて
何処か遠くへと
揺られていった
海に流した小瓶の中の
儚い華瓣と共に
何時かの願いは
波に揺られて消えていく
そうと知っても
無限の世界の全てを
知ってしまったなら
其は只の小さな
掌に乗るくらいの
有限の箱庭であると知る
幾度も続くそのやり取りと
その世界全てを知る事は
出来ないのだろうから
小瓶に願いと思いを詰めて
人は無限に夢を
馳せるだけなのだろう