バチンッ!
気付けば、私の右手は先生の左頬を叩いていた。
一瞬、どうしようと困ったが、なんだか気持ちが苛立ってくる。
「馬鹿にしないでください」
そして、私は彼に背を向けた。
私の気持ちを知ってて、あんなことを言ったのか…。まだあなたを忘れられないのに。涙が零れ落ちた。彼は私が泣いていることなんて気付かない。いつもそうだったから。
私は振り返らずに部屋を後にした。
「哲平…」
部屋を出ると、廊下に哲平が立っていた。
「……」
何も言わない。もしかして、今の聞かれていた?
「なんで此処に?」