ギャグ・クエスト4

雛祭パペ彦  2006-06-27投稿
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「もう、レベル8だぞ」
 勇者は、あきれていた。
 実は、魔法使いの少女が、いまだに呪文を覚えないのである。
「ごめんなさい」
 口ではそういいながらも、少女は、まったく反省していない。
「あのさあ、魔法が使えない魔法使いなんて、はっきり言ってジャマなんだよねー。だってさぁ、攻撃力なんて皆無に等しいじゃん? で、強力な武器を持たせようとしたら、重いので装備できない? 赤ちゃんかよ」
 戦士が、少女を責める。
「もしかして経歴詐称? ちょっと免許証を見せてごらんなさい」
 僧侶あらため神官が言った。あ、読者のみなさん、僧侶から神官に呼称変更しますね。日本で僧侶っていったら、仏教の坊さんですもんね。すいませんね。
「そうだ、免許証だ! おい魔法使い、ちょっと免許証みせろ」
 戦士が乱暴にそう言うと、ウソ泣きに失敗していた少女は、しぶしぶ、おしゃれポーチから免許証を取り出す。
 この免許証は、勇者、戦士、神官、魔法使いなどを名乗るために必要な証明書であり、専門の教習所を卒業することにより取得できた。
 ちなみに、免許証を持たない者がモンスターを殺すと、動物虐待罪で逮捕される。
「うーむ……あ! やっぱり!」
 免許証をチェックしていた勇者が、大声で騒ぎだす。
「ほら、ここ。この職業欄のところ、これシールだ。上からシールが貼ってある!」
「あー、うー、にゃー」
 少女は、あきらめ顔だった。
「かじ…てつだい? てめぇ、本当の職業は、家事手伝いかよ!」
「名門ソルボンヌ家事専門学校・卒業だよ。すごいでしょー、えへへ」
 やけっぱちである。
「帰れ」
「帰りなさい」
「ていうか、死ね!」
 もはや用無しと思ったのか、勇者たちは、少女に口汚い言葉を浴びせる。
「みんな、ひどい! えーん」
「くたばれ」
 お見通しだった。
「えーんえん…あ、わかった。わたし、お嫁さんになる。この冒険が無事に終わったら、3人のうちの誰かのお嫁さんになってあげる!」
 そう言って、少女は胸元のボタンを1つはずして見せる。
 チラリと、バスト90センチの谷間がのぞいた。
「ん、ふわぁー」
「よ、よく寝たなあ」
「ゆ、夢だ。ぜんぶ夢だった」
 あわてて顔を赤らめながら、勇者たちは、わざとらしい寝起きの演技をしはじめた。
 こうして、少女の経歴詐称は、忘却の彼方に押しやられたのである。

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