「ううん。わかってる。
でもね、変わらないの。蒼を好きな気持ち。
今も、昔も…」
ちぃちゃんは瞳を潤ませて覗き込んでくる。
「川上さんが現れた所で、私達の過去は変わる事ないわ。
そうでしょう?」
幼い頃、そして転校するまでの思い出が蘇って来る。
どんな時だって、そばにちぃちゃんがいて、守って守られて来たんだと思う。
けど―…
コンコン!
気付いたら病院に着いてて、病室のドアをノックすると返事が返って来た。
「おば様、お久しぶり」
「あら、ちぃちゃんも来てくれたのね」
母さん、今日は比較的に顔色が良い。
「これ、おば様の好きな桃」
「悪いわね、気を使わせちゃって」
彼女は篭を机に置くと花瓶の花を取り替えに病室を出ていった。
「本当に良い娘ね」
俺に笑いかける。
母さんまで誤解してたりするんだろうか?
と、確認したくなって来た。
「母さん」
「ん?」
「俺、今付き合ってる娘がいるんだ」
「そう…」