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私は死ぬのだろうか。
ふとそう思うときがある。
そういうときは大抵、激しい頭痛が起きてからである。
すぐに、羽飛を呼ぶ。
いつもからだが悪くなった時羽飛に、針を打たせている。
羽飛が針を刺すと、痛みがなくなる。
羽飛はいつも、針を刺す前に血が滞っている所を手で擦りながら探す。
その滞っている場所に打たれると、全身からドンドン力が抜けていくような感じに襲
われる。
それで大抵の頭痛は治る。
だが今日の頭痛は、いつもと違うものだった。
(死期が近い・・・)
羽飛をすぐに呼んだ。
「またで御座いますか。最近、ひどくお痩せになった気がいたします。琉天領様。」
首筋に衝撃が来る。
力が抜けた。
「うむ。楽になった。いつもすまぬな。それより、間者の報告によればグリンガムが
出陣したようじゃ。我が軍も、迎撃に出なければ。」
「駄目です。殿はここでお休みになっていて下さいませ。
病が悪化します。」
「良いのだ。この老いぼれの最後の戦だ。病で死ぬのは嫌なのだ。
せめて、この命は、戦場で散らせたい。」
「命を粗末にされてはいけませぬ。ここでお休みください。」
羽飛はそういうと、すぐに出て行った。
もう真夜中だ。
身体が氷のように冷たかった。
不意に、深い眠気に誘われた。
目が霞む。
琉天領は、何かを書き目を閉じた。