「二人共頑張ってるか?」
タクトが出て行ってからしばらくしてウェドは帰ってきた。見知らぬ少年を連れて。
「お帰りなさい。・・・誰?」
「実はな、こいつが『木彫りの不死鳥』と『勇者の血』のことを知ってるんだとよ」
「あれ?もうひとり居ないのか?」
ウェドが引き連れてきた少年が辺りを見渡しながら訊いてきた。
「あなた、お名前は?」
「ああ、わりぃ、ウェイトだ。よろしくな」
ウェイトはパールに手を差し出した。
「ウェイト?もしかして、あなたは、初めはタクトと一緒にいた?」
パールは驚いて手を握ることも出来なかった。
「お知り合いですか?」
「ん?どうして知ってんだ?タクトが話してたのか?」
パールは得意気に話し始めた。
「覚えてない?ムシに囲まれてたあなたたちを弓を使って助けた行商人」
「あの時の馬車か!」
ウェイトも思い出したようだ。
「すごいなー、タクトのやつ、こんなに仲間が増えていたなんて」
ウェイトが三人の顔を一人ずつ見比べていく。なんとも個性的な仲間たちだ。
「タクトはいつ帰って来る?」
ウェイトはパールに目線を戻した。
「さぁ、もうすぐ・・・あっ!帰って来たわ」
パールの視線の先には歩き疲れたのか、足元を見つめながらゆっくりこちらに向かって来るタクトの姿があった。
「おーい!タクトー」
ウェイトは図書館にも関わらず、大声を出し、そのせいで大勢の人々の視線を集めたが、そんなことも気にかけず、それどころかタクトに向かって手まで振りだした。
タクトはびくっと顔をあげるとウェイトと確認するや否や自慢の足で駆け出してきた。
「ウェイト!ウェイトじゃないか!どうしてここへ?」
タクトの声もウェイトに負けず劣らずの大声で、人々の視線を集めた。
「二人共もう少し静かにして下さい」
とうとうフラットが恥ずかしそうな小さな声で二人に呼びかけた。
「わりぃわりぃ、それより聞いてくれ。俺がここに来た理由は、この図書館の地下にR11が『木彫りの不死鳥』を隠したからなんだ」
「それじゃあ俺たちも一緒に行こう。人数が多い方が安全だしな」
「そうね、因みにわたしたちは『木彫りの不死鳥』の『頭』を見つけたわよ」
パールがウェイトに伝えた。
「待って下さい」
フラットが注目を集めた。
「この図書館に地下はありませんよ」