そこに男はまたいた。
「どうでしたか?」
「…最悪だったよ」
俺はげんなりした。夢だとしてもあんな姿は見たくない。
「なあもう一度見せてくれよ」
「ではまたあなたの夢の記憶を貰いますが」
「そんなもんいくらでもやるよ」
俺は目をつぶった。男はまた笑った。
「毎度ありがとうございます」
今度は黄色の「道」を行った。部屋のドアを開けた。そこには誰か「男」がいた。誰だあの人。どこかで見たようだが思い出せない。その「男」はホームレスだった。「男」は元は金持ちだったが企業が失敗してホームレスになってしまったらしい。公園で寝ている
俺はもとの場所にいた。何か変だ。誰だっけ。というか俺は何を見ようとしてたんだ。何か忘れている様な気がする。
紳士みたいな男が俺に言った。
「どうでしたか?」
「うーん。よくわからない」
「続きを見せてくれ」
男は笑った。
「毎度ありがとうございます」
「ふああ…」
俺はめがさめた。長い夢を見ていた様だ。なんの夢かは思い出せない。そこで異変に気づいた。
あれ?
何だっけ?
俺って誰だっけ?
わからない。
思い出せない…。
紳士の姿をしたユメクイは満足気だった。やはり人の夢というのはうまい。夢とは記憶。夢を忘れれば記憶もなくす。夢が食え、さらにその相手の記憶がなくなるのは嬉しい限りだ。
おや。
どうやら新しい獲物が罠に掛かったようだ。
ユメクイはその獲物に優しく尋ねた。
「どうでしたか?」