今もまだ覚えている。
最期の一瞬…
いつもと変わらずバイトしている間、携帯には着信が残っていた。
バイトが終ると、アタシは直ぐに、電話した。
「もしもし?なんやった?」
「んや?特に何もない」
「そぅ…、ほいなら」
たったこれだけの会話。
その後、彼は、自ら人生に終止符をうった。
発見されたのは、その何日か後だった。
行方が分からずに、しばらくは音信不通だった。
アタシが携帯へ電話すると
「もしもし?」
「あなたはどのような関係ですか?」
電話を出た相手は、彼ではなかった。
「警察です、堤防にて、車の中で、亡くなっているのを、発見し、今は署に移動しました」
アタシは、手も声もが震え、
ただ真実を受け止めれなかった。
涙が止まらない
何で?
どうして?
自殺…
真っ暗な悲しみが一気に押し寄せた。
それから、遺体を確認し、通夜や葬儀。
その中で、彼の友達も、誰も、自殺の原因が分かる人はいなかった…。
ただ、友達から、一生忘れない言葉を聞いた。
「あいつは、何よりも、お前を大切にしていた、家庭環境が複雑ゆえに、俺しか頼る人がいないから、なるべく優先したい」
と…
聞いた瞬間、嬉しかったのと、やっぱり私にとって、たった一人。
掛け替えのない人だって、強く思った。
ホントなら自殺なんて、何で?どうしてするんだ…
まだ人生いくらでもスタート出来るんだ!
って怒りたかった。
だけど、彼の顔を見ると、怒れない。
やっと解放されたかのように、健やかに眠る顔だったから。
これが彼にとって、一番の幸せだったのかな?
私が歳を重ねるごとに、彼の歳を越えてしまう。
私が、ばーちゃんになっても
彼は、今のまま。
複雑な気持ち。
そして、
今、私はあなたの歳になりました。
変わりに。
これから、何がなんでも
あなたの分まで生きて行きます。
アタシの幸せを、
見守ってください。
たった一人
血の繋がった
おにーちゃん。
おやすみなさい。