フラットの言葉にウェイトは落ち着いて返答した。
「もちろんそんなことは分かっている。その地下自体も隠されているからな」
「それじゃあ、どうやって地下に行くんだ?」
ウェイトは今度はタクトの方に目をやった。
「見つけるんだ。必ずどこかにあるからな」
「その情報は確かなのか?」
タクトが続けて訊いた。
「ああ、確かだ。信用していい」
そして、ウェイトは「手伝うか手伝わないかは自由だ」と言い残し、どこかに行ってしまった。
「ウェイトはタクトの幼なじみなんでしょ?」
「うん。だから、本当だと思う。だけど、場所が分からないんじゃ」
「どう転ぼうと探すんだろ。だったら、さっさと手分けして探そうぜ」
ウェドの言葉で四人は散々になって地下を探し始めた。
パールとウェドとフラットの三人が入り口付近の床に描かれた不死鳥の上に集まっていた。
「やっぱりそんなに簡単に見つかる訳ないわね」
「こんなに広い建物の中にあるって言われても見つかる訳ねぇよ」
「本棚が邪魔で探せないところもありましたよ」
三人の声色からは諦めの色が窺われる。
「タクトさんはどこに行ったんですか?」
「そういえば、地下を探してるのに上に上がってたわよ」
「何やってんだよ、あいつ、さぼりそうにない奴なのにな。人は見かけによらねぇな」
ウェドは忌々しそうに、タクトが上って行ったのであろう階段を見つめた。
「タクトがさぼる訳ないでしょ。さぁ、タクトを探しに行きましょ」
三人は地下を探した時と同様に散々になってタクトを探した。
「タクト。何してるの?」
最初にタクトを見つけたのはパールだった。
図書館の四階の少し入り込んだところで、通路の様に左右に本棚が立ち並び、さらに目の前には行き止まりの本棚がある三方を本棚で囲まれたところにタクトがいた。
「どうしてこんな狭いところにいるの?」
タクトは振り向きもせずに答えた。
「この本棚、おかしいんだ」
タクトが見つめていたのは、通路の行き止まりとなっている本棚だった。
「どうして?」
「この辺りにはパラスの逸話や伝説について書かれた本しか無いんだ。でも、この本棚だけはいろんな種類の本があるんだ」
確かに言われてみれば、哲学のような難しい本から小さな子供が親に読んでもらうような本まで並び方もばらばらに置かれていた。