幸運の女神 12

朝倉令  2006-06-28投稿
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「ねェねェ、なんか凄い事になりそうじゃない?」


「まァ、俺は平和が一番だけどね…」



そうこうしているうちに俺、倉沢諒司と品川恵利花の二人は、李青蘭という女性に渡された名刺の住所へ辿りついていた。





 〈時の回廊〉にて…



「何かさァ、占いの館っぽくないね?」


「そうだな。  明るくてアンティークショップか輸入雑貨のお店ってな感じかな」





『恋を叶えるための必須アイテム』

『開運グッズはこれ!』


などと可愛いイラスト入りのプレートで仕切られた棚に、天然石をあしらったアクセサリーがインディアンジュエリーの様に並べられていた。


値段も手ごろで、学生さんにも無理なく買える位。



「見てると欲しくなっちゃうよね〜♪」


「気に入ったのがあれば買ってやるよ」


「本当?」「たまにはね」


エリカのおねだり目線に、俺は快諾していた。






「ようこそ、時の回廊へ」


柔らかな、大人の女性のムードを漂わせた李青蘭が笑顔で迎えてくれる。



「私、占い師には本来不向きなんですけれど、前任の手島美和からここを任されましたので…」


「ええっ!美和さんが占い師やってたんですか!」



驚きのあまり、つい大声を出していた俺。






『鬼店長』こと手島美和は、数年前までメデューサと名乗る占い師だったそうだ。


言っちゃ悪いが、悪らつな魔女って雰囲気の美和さんにはピッタリ……



「うふふっ、美和が聞いたら怒りますわよ?」


「え?… 何でそれを」



エリカが、ニコッと微笑んで俺の脇腹をひじで軽くつついてくる。



「リョージってさァ、す〜ぐ顔に出るじゃん、ね?」


「うふふっ、それもありますけど、私、他人の考えている事が、開かれたページを読むように見えてしまうんですのよ?」





穏やかな笑顔と声のまま、李青蘭はタダならぬ事をサラリと言ってのける。







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