嘘(lie)とは、わざと事実に反した事を言うこと。この物語は、フィクションである。つまり嘘の話だ。この物語は嘘についての嘘の物語である。 「もう死にたい」ポツリと呟く。何のために生きてるんだ。どうやって、何を信じて生きていけばいいんだ。
「紅月大地、君の望み通りの世界に連れて行ってあげよう」
突然、知らない声が聞こえた。振り返ると、涙で滲んだ視界から見知らぬ男が見えた。
「君はどんな世界を望む?」
「嘘のない世界。」
ふと僕の口からこぼれた。
「それが君の望む世界か、その願い叶えてやろう」
突然目の前が真っ暗になった。
目が覚めた。いつの間にか寝てたらしい。
「さっきのは夢か」
「夢ではないぞ」
さっきの男だ。
「あんたは誰だ?」
「そんなことはどうでもいいことだ。大事なのは、ここがどういう世界なのかということだよ。大地君」
「はぁ?何言ってんだ、あんた」
「まだこの世界のことを理解してないようだな。まぁそれも当然か。起きたばかりだしな。わたしが、この世界のことを少し教えてあげよう」
第一章 完