外の喧騒をよそに、ローズマリーとエリザベスの会話は続いていた。
「ネエ、ローズマリー」
「なあに?」
「アノオドリヲ、ヤッテ」
「ハァ、こんな所で?」
「ヒサシブリニ、オドリヲ、ミタイノ」
ローズマリー、両手を上げるジェスチャーしながら言った。
「勘弁してよ。今はそんな気分じゃないのよ」
「ゼヒ、ミターイ」
「エリザベスったらァ」
呆れ顔のローズマリーである。
すると、エリザベスは意外な事を口にした。
「オドッタホウガ、レイリョクガツイテ、イインジャナイノ?」
妹の言葉に、ローズマリーはピーンと来るものを感じた。
ローズマリーの表情が明るくなる。
ニヤリと微笑むローズマリー。
「イイ事に気づいたわねエリザベス」
そう言って、ローズマリーはその場で踊り始めた。
バレリーナのように…
ゆっくり両手を広げ…
足を高く上げ…
華麗に舞う。
ローズマリーハ…
キタノマカイデハ…
ユウメイナ、ブトウニンギョウジャナイ。
そう。
私は魔界では1番の踊る人形なのよ。
踊る事で…
私の霊力が増しパワーが付いて来るわ。
私は強くなれる。
強くなれるのよ。
このようにして、2体の人形は互いにテレパシーで会話するのだった。
「あんな所で踊りとはな。舞踏会で踊る為の、稽古でもやってるのか?」
モニターに釘付けのモグレ警部は、ローズマリーの行動が理解出来なかった。
「上手いですネェ。
プロのダンサーになれますよ彼女は」
呑気にレイロ刑事がローズマリーを褒める。
「冗談言ってる場合じゃないぞ君ィ?
コイツは何を企んでいるのか分からんからな」
「すみません」
そこへマーティ巡査がやって来た。
「警部! 軍の関係者らが見えられました!」
「ウム!」
振り返るモグレ警部とレイロ刑事。
そこには…
マーティ巡査に案内されて来た3人の兵士の姿があった。
マーティ巡査は3人にモグレ警部を紹介した。
「こちらが、現場を指揮する18分署の警部モグレ・ロワッソです」
「はるばるご苦労様です。モグレです」
1人に握手を求めるモグレ警部。
「陸軍北部方面・第1首都治安部隊を指揮する隊長のグリッドマンです」
握手を交わす2人。