抱き合ったカタチのままで、
颯太がわたしに言った。
『サンタってさ、1人じゃないんだよ。
ある日、選ばれた者達だけが、サンタになるために、サンタの国へ行く事になるんだよ。』
『サンタの国?!』
『うん。サンタの国へ行ってる間の周囲の人間の記憶は、
魔法の力でうまく操作してもらえるから、絶対にばれる事はないし、バレたら即サンタからおろされるんだ。』
そこまで話すと、颯太は抱きしめていた腕をそっと離し、
わたしの顔をじっと見つめた。
『だから僕、明日からサンタ失格。』
『わたしに話したから?!だよね?!
どうして?!』
『僕、カヤノに恋しちゃったから。』
『颯太――』
嬉しかった。
颯太もわたしの事を好きになってくれたんだ。
『颯太、わたしも‥‥‥君の事が好き。』
不思議だね。
わたし達、
もしかしたら、
ずっと前から出会う運命だったのかもしれないね。
『サンタを失格になった者は、サンタだった時の記憶を全て消されてしまうんだ。
だから僕‥‥カヤノの事忘れてしまわない様にするから。
絶対覚えてるから。
だから、カヤノも絶対僕の事、信じていてよ。』
『うん。信じてる。
颯太がもし、わたしの事を忘れてしまっていたら、わたしが絶対思い出させてみせるからっっ!!』
『カヤノ‥‥。』
『‥‥颯太。』
『‥‥キスしていい/////』
『‥‥いいよ。』
Merry Christmas!!
颯太。
君と出会えた最高の夜に――