いつのまにか寝ていたことに気づいた。
漫画喫茶には常に暗く窓がないから時間の感覚がおかしくなる。
小さい部屋を見渡して
時計を探す。
時計はない。
タバコに火をつけて一息ついてからゆらりとテレビをつける。
ちょうどニュースが放映されていた。
(18時すぎくらいか..)
少し大きなアクビをして 乾燥しきったカップをもってドリンクバーにとりにいく。
熱いコーヒーをもって部屋に戻ると
テレビの中が慌ただしくなっていた。
「速報です。〇〇食品株式会社会長刺殺事件に新展開です。会長の次男が犯行を自供」
えっ?なんだこれ
犯人はオレなのに
なんだこれ
自供というのがいかに強引なものなのか想像させた。
僕は思わずほくそ笑んだ
いい流れだ。
あの一族はこんなんじゃ足らない
もっと不幸になればいい。
僕が受けた仕打ちは
こんなものではないから
「ククククククック!アハハハハハハハハ」
静かな漫画喫茶に
僕の笑い声だけが響きわたった
僕は自由になりきったのだ