RPG−14

たる  2009-01-02投稿
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「あれー?レイー?」

タオルを頭にのせたままカナは首をかしげた。呼びかけても返事がないということは、レイは部屋にはいないということだろうか。

「どーこ行ったんだろ」

呟くのと同時に外からドアが叩かれた。カナは頭のタオルを右手に持ってパタパタとドアに駆け寄った。

「はい」

返事がない。覗き穴がないので見ることはできないが、レイじゃないことは確かだ。

「あの・・・?」
「ツレのことで話がある」
「えっ?」

頭が真っ白になった。怪しいと思わないわけなかったが、ドアを開けないわけにもいかなかった。

ドアを開けたそこにいたのは、ホテルの従業員でもましてレイでもない。鋭く光る目を持った男だった。

カナは声にならない悲鳴をあげた。とっさにドアを閉めようとしたがもう遅い。男はぬっと部屋に体を入れた。

「だ、れ」

男は表情のない顔で目だけを光らせている。カナをぽんと押して、後ろ手でドアを閉めた。

ドアが閉まるパタンという音が、カナには絶望を告げる音に聞こえた。

***

手を背中で結ばれ、両側には屈強な男が2人。それだけで十分逃げる気を削ぐのだが、目の前の男はさらに圧力をかけてくる。

レイは殴られた右頬がじんじんと痛むのを無理矢理無視して、目の前の男を睨んでいる。

「いい加減言っちまえよ。なあ」
「知らないって言ってるだろ」

男は聞き飽きたというように、レイの言葉の途中で片手をひらひらと振った。実際、レイはこのセリフをこの男に何度となく言っていた。

「吐かないとー、お前のツレ、ヤっちまうぞ」

レイは喉の奥で息を吸った。男の顔が残酷な笑みで歪んだ。

***

男がレイを捕まえたのは、カナがシャワーに行ってすぐだった。ドアをたたき、開くまで黙って待って、出てきたところを連れてきた。

カナを連れていかなかったのは、男には情報、仲間の数、それに経験という自信があったからだ。

男はレイに、宝はどこだと聞いた。レイは正直に知らないと言った。2回目にそう言ったとき、男は大きな手でレイの頬を叩いた。

***

(最悪、死ぬかもしれない)

レイが思い出したのは、ビガ村でいとも簡単に男に組み敷かれていたカナだ。自分がいなければカナは本当に危ない。

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