嵐が去り、柔らかな陽射しが雲の隙間から注がれ始めた。
嵐が止んだのは翌日の早朝の事で、シーラもフォーも毛布にくるまって眠っていた。
先に目を覚ましたのはフォーでまだ眠い目を擦りながら暖炉に火を起こす。
「寒…。」
山の朝は冷える。
身震いをしていると隣でシーラがもぞもぞと動いた。フォーは驚いてシーラを見下ろす。
毛布に猫のようにくるまって眠る彼女は、写真の少女にそっくりで何かの縁を感じずにはいられない。
本当にこの娘と彼女は何の関係もないのだろうか。
「ん……。
ふあぁ〜。あ、おはようございます。」
大きな欠伸をしてぐうっと大きく伸びをするシーラ。「お、おはよう…。」
「あら、嵐止んだんですね。」
パタパタと窓辺に駆け寄り朝の暖かな陽射しを浴びる様は猫のようで何だか笑えた。
「さて、もう少ししたら行くか。」
銀の髪を靡かせ振り向いたシーラの表情は先ほどまでの少女のものではなく、強い信念を持った娘のものだった。
「はい。分かりました。」
その後、陽射しが燦々と降り注ぐ頃、シーラとフォーは山小屋を出た。