「人形相手に戦争だなんて、聞いた事もないね」
「トイプードル首相直々の要請ですからね」
「政府が動き出したなんて、初めてじゃないか」
「前回の人形騒動には、国の政府も関心持っていましたからネェ。
きっと、ローズマリーと言う人形がエリザベスより凶暴だと言う事で、危機感を募らせたのでしょう」
「ローズマリーについて、警部たちはどこまで把握しているかね?」
「だから、エリザベス以上に凶暴だと言う事だけです」
「それだけか」
「それだけって。
何か、新しい情報でもあるのですかな?」
「その為に、こうして来たのだよ」
「え?」
「ジョージ!」
待ってましたとばかり、ジョージがクルマから降りて来た。
ルークも一緒である。
「初めまして! ココにいる、ルーク・ハリーと同じクラスのジョージ・ハンクスです!」
モグレ警部に握手するジョージ。
少し興奮気味である。
「情報なら、彼が詳しい」と、アースル。
――――――――
部隊が動き出した。
軍用車両で待機していた兵士たちが一斉に降りて来たのだ。
慌ただしく4号研究棟へ急ぐ兵士たちにアースルたちは視線を送った。
ジョージは兵士1人1人が携帯している装備品を見てキッパリと言う。
「あの人たちでも、人形には勝てません」
「彼等は首都を守る最強の精鋭部隊だよ君ィ。
戦闘のプロがだね、人形に負けないハズないだろう」
モグレ警部の意見に、ジョージは反論する。
「それは倒す相手が、生身の人間かロボットだったらの話しでしょう」
「何ィ?」
「軍が相手にしているのは、人形の姿をした得体の知れない化け物ですよ」
「それが何だって言うんだね? エリザベスの時は、警察の力で退治出来たんだよ」
「ローズマリーの場合は、強さが違う」
「大して、変わらんよ」
「…」
呆れ顔のジョージ。
人間の想像を超えた怪物だって事を認識しているのだろうか?
エリザベスを倒せたのだからと言う驕りが頭にあるから…
異次元の怪物を甘く見ているのかもしれない。
そこでジョージは自ら抱く、或る疑問をモグレ警部にぶつけてみた。