「お願い助けて」
断れないの知ってるくせに
電話を切ったあとで、もう一度悲しくて泣いた
あたしが手伝いに行く前日、前々日
彼の部屋に彼女が来ていた
夜一緒に大阪に飲みに行く前にご飯を食べて彼のかたづいた部屋で、あのベッドでセックスをして
あたしには運転させるくせに大阪まで運転してあげて
明け方また一緒に帰って来てセックスして
昼ごはんまた一緒に食べて…
あたしが手伝いしてた2日目に聞いた
あたしより先にかたづいた部屋に入った…
と言うか彼女のために片付けたのかな…
あたしがいくら言っても持って来なかった便座カバーも、マットと蓋カバーとトイレットペーパーカバーときちんとセットでキレイにされてた
昨日セックスしたベッドにはすでに彼女がいた
けどあのベッドには彼女よりもあたしがいる
あたしがかたづけたキッチンを使った
あたしが彼と大阪に行く時と同じ…
手伝いを終えて、まだ仕事が残っているという彼の部屋に一人戻ってきて気づく
酒が増えてる
あたしが飲みたいと言って断られたシャンパンがあいてる
仕方ない
言われるまであたしも気づかなかった
そんなもんなんだ
あたしだって
言われなきゃ気づかない
言わなきゃいいのに、もうあたしに隠し事がなくなって楽になった彼は言ってしまう
あたしが気づく前に
その方がいいのかも知れない
ある程度平気なフリをしないと何も言ってくれなくなる
悶々としてしまう
それはイヤだ
黙って聞いてれば彼は彼女とのセックスまで報告してくれる
あたしは下手に隠されるより言われる方がいいんだなぁと話を聞きながら思った
彼女には言えないんだし
彼があたしと逢う事で、あたしに話す事で、彼女を裏切れば裏切るほど、あたしは苦しいなるけど
苦しい分、秘密が増えるのも確かなんだ
彼女には言えない秘密が増えていく…
ずっと…
これからも増えていく