長椅子から立ち上がり場所を変えた。
長椅子に警察官が大男を座らせた。
「とにかく、落ち着くんだ。まずその血を拭かないとな。ちょっと救急箱を持ってきてくれ」別の警察官に指示した。
「ゆっくりでいいから、何があったか話してくれ」
「飲み屋で飲んでたんだ」
「それから」警察官が促した。
「よく覚えてない。ただ店を出て歩いてたら、後ろからクラクションを鳴らされたんだ」
「それから?」
「確かに俺はちどり足だったよ。それから、、、」大男は思案している。
「そうだ。車から四人ぐらい下りてきて、俺にかかってきたんだ」
別の警察官が救急箱を持って来た。
「それで?」
「ただ一瞬のことで、とにかく相手が見つかったら、ぶっ殺す」
「ここまでは何で来たんだ」警察官が尋ねた。
タクシーでと、その時大男は財布を確かめた。どうやらお金が入ってないらしい。その途端、大男は財布を床に投げつけ、入り口を出ようとした。
その場に居合わせた、すべての件が大男を取り押さえにかかった。