RPG−20

たる  2009-01-04投稿
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「タームたちと一緒に行かないか」
「えぇっ?」

カナが思わず大きな声を出した。

***

アンの賊たちは数十人の手下を置いて逃げた。レイが倒れた男たちの隙間を見つけて歩いているときだった。

はっきり残る縄の跡をさすりながら、レイはニルバの後ろを歩いていた。横にはタームがいる。

「女2人でどこに行くんだ?」
「・・・ビヨド」
「そりゃあこの山を通るなあ」
「賊が張ってたなんて知らなかった」

レイがややうつむいて言った。タームはそりゃそうだと言って、でもと付け加えた。

「このアジトから消えたってだけで、あいつらが山を出たかなんて分からねえ。なあ、ニルバ」
「むしろまだひそんでる可能性の方がでかい。あいつらがそう簡単に宝を諦めるとは思えない」

レイは黙って聞いている。

「レイとお嬢ちゃんだけで山を抜けるなんざ、鮫が待つ沖に小魚が突っ込むようなもんだ」

レイは唇を噛んだ。事実、自分は相当危ない目に遭ったし、カナも危なかった。

「よってだ。俺たちと来い。船を使えばビヨドなんてスススのスだ」

ニルバが驚いて振り返った。だから山を降りろ、と諭すのかと思っていた。まさかこの馬鹿はさらに面倒をしょい込むつもりだとは。

しかも断ると思いきや、レイは頼みたいと承諾した。ご機嫌に笑うタームを張り倒したい衝動をニルバはなんとか抑えた。

***

「海」
「そう。山賊だと思ってたけどタームは海賊らしい。この山が通れないなら、海を渡るしかない」

カナはレイを、レイはカナを思い、その提案を受け入れた。ニルバ以外はその快諾に手を挙げて喜んだ。

***

「何を考えてるんだ!」

ニルバが言った。その目つきはもはや凶器だよと思いながらタームは目を反らした。

長い付き合いだが、一向にニルバの固さは抜けない。今もこうして2人を船に上げることに反対している。

「アンが狙う奴を乗せるなんて危険すぎる!」

だから俺たちが守ってやるんじゃないか。アンのボスの顔を見たレイは狙われないはずがなかった。

さらに言い募るニルバに、タームは両手を腰にあてて言い放った。

「俺はレイに惚れてるんだ!」

ニルバが頭をかかえた。だから仲間みんなを危険にさらすっていうのか?

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