心根?

陣内  2006-06-29投稿
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僕は昨日の練習の成果を十分に発揮した、と歌い終わると思った。そして、いつの間にか点数が測定されていた。七十点だった。
『微妙だな〜』
椎名は言った。何でさっきは測定しなかったんだ、と思った。
『じゃあ今度は真澄!』『え、私…』
初めて声を聞いた。ヤッパリしゃべれるのか、と安心した。僕がくだらないことを考えている間に真澄は伊藤由奈のPRECIOUSという曲を入力した。
『信じよう ふたりだから 愛しあえる あの空へ〜』
さすがにこの曲は男は歌えないな、と思った。

三人で交互に歌い初めて三十分がたった。
『俺、ちょっとトイレに行ってくる』
椎名が言った。二人になるのは気まずいな、と思った。
椎名がいなくなってから沈黙が続いた。時間を意識しているせいか長く感じた。沈黙が長く続くと先に話しかけた方が負けになるような気がした。『な、なにか歌いますか?』
負けた…そしてかんでしまった。その上、微妙に敬語になる癖がでてしまった。
『翔太君歌っていいよ』初めて名前を呼ばれた。そして、初めて会話をしたな、と思った。
『あ、いや、いいや』
さっきから神経を削りすぎて寿命が十年くらい縮んだような気がした。手に汗をかいているのに気づいた。



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