『夢だったのか…』
夢を見ているとそれが夢だと思わないから不思議だ。夢は自分の本性が表れる。僕は荒んでいるのか、と思った。ブルーな気分になった。
『翔太、ご飯よ〜』
母の声が聞こえた。しかし今は腹が空かない。
『さっき食べたばかりだからいい！』
母の返事はなかった。
月曜日になると気分が少し悪くなった。ヒッキーになろうかな、と思ったがそんな勇気はなかった。
教室に入ると椎名が声をかけてきた。
『この前のカラオケはありがとな。真澄も楽しかったって言ってたよ』
いやいや、あり得ないだろ、と心の中でツッコミをいれた。
『真澄さん、あまり話さない人だったっけ？』
勇気をだして聞いてみた。
『まあ、中の下ぐらいかな』
中の下って、中はどの程度なんだよ、と思った。『真澄を見たときのお前の顔正直すごいウケたぞ〜。どんなに驚いたんだよ！』
G-SHOCKが壊れるくらい驚いたよ…。
『当たり前だろ。急に知らない人と会うと』
『出会いは大切にしろよ。意識しあってこその出会いだからよ』
今日の椎名は何か変だな、と思った。くさい、くさすぎるぞ椎名。
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