「へっぷし」
くしゃみをした。
すると、精霊が現れた。
「3つだけ、好きな願いを叶えるよ」
「じゃあ、叶えられる願いを100に増やしてください」
試しに言ってみた。
「うん、いいよ。でも100といわずに、どうせなら1億くらいにすれば?」
まったく悩む様子もなく、精霊は即答した。
「え? よろしいんですか?」
「よろしいもなにも、好きな願いを叶えると言っちゃった手前、しょうがないよね」
けっこうサバサバしている。
「ということで、あと1億回、好きな願いを叶えることができるよ」
「やったー」
「さあ、どんどん言ってよ」
精霊は、やけに急いでいた。
「えーと。8000兆円ください」
「オッケー! たった今、きみの預金口座に8000兆円振り込んだよー」
その瞬間、世界経済が破綻した。
「あみゃむみゃ! やっぱり5兆円くらいでいいです」
「オッケー! 5兆円にしといたよー」
とりあえず、世界経済は元通りになった。
「さあ! どんどん言ってよ! まだまだ願いは叶えられるよ!」
「で、では、超能力とかを使えるようになりたいです」
「オッケー! 飛翔、瞬間移動、エネルギー波とかを使えるようにしたよー」
「やったー」
試しに「飛びたい」と念ずると、フワフワと宙に浮くことができた。
「さあさあ、次はどんな願いかな?」
「えーと、うーん、美味しい食べ物とかは5兆円で買えるし、服とか自動車とかニャンニャンとかもお金で買えるし…そうだ。この平凡な顔や身長、体格とかを全てカッコ良くしてください!」
「オッケー! ハリウッドスター級のイケメンにしたよー」
鏡を見ると、精霊が言ったとおり「イケメンの外国人」になっていた。
「あと99999990回以上も願いを叶えなきゃだめだよー。さあ早くして。早く願いを言ってくれなきゃ!」
どうも雲行きが怪しくなってきた。
うすうす感じていたものの、話がうますぎると思っていたのだ。
「おいコラ! 早く願いを言えよコラ!」
精霊の口調が、乱暴になっている。
「あのう。ちょっと今すぐには思いつかないんですけど…」
「なんだとコラ! 思いつけよコラ!」
もはや、借金取りの口調に近い。
「す、すいませんけど、思いつくまで待ってもらえませんか?」
半泣きになりながら言ってみた。
「オッケー! 待ってまーす」
一体、何が目的なのですか?