俺達はしばらく声も出さず部屋の中でじっとしていた。 「フィーは名前の他に何も覚えてないのか?」 ハウィーが突然口を開いた。 「覚えてない…ごめんなさい」 フィーは下を向いてしまった。 「気にしなくて良いよ。」 俺は静かな口調でなぐさめるように言った。 「てかさ、フィーって歳いくつ?」 ハウィーがしつこく聞いてきた。 「…15」とフィーはつぶやくように言った。 「15!?俺らとそんなに変わんないじゃん!12、3歳ぐらいかと思ってた。」 俺はそれを聞いて失礼なこと言うなよ、と思ったがたしかにフィーは歳のわりに体が小さくそう見えても仕方ないと思った。 「フィーは家族はいる?」 俺はフィーには家族がいるのか気になっていた。 「…お母さんとお父さんがいるけど…それ以外は分からない…。」 また下を向いてしまった。 「そっか、さびしくない?」 俺が優しく聞くとフィーは泣き出してしまった。 ずっとさびしく思っていたがまわりは知らない人間ばかりで言いだせなかったのだろう。 「俺、フィーを家族のとこに連れて帰る。」 突然俺はそう言った。 「は?何言ってんの?」 ハウィーがバカにしたように言った。 「俺、本気で言ってんだよ。これをきっかけに地上に行こうと思う。」 ハウィーはまだ理解していないようだった。