その時、院長室にあるテレビの画面がいきなり切り替わり国営の放送局のニュースキャスターが映し出された。
「臨時ニュースをお伝えします。本日未明、北海道にある病院で鳥インフルエンザによる死亡者がでたという情報が国へ通達されました。これによりただ今から日本全国民に外出禁止令を言い渡します。」
「やはり北海道でも…」
「院長!!僕はどうすれば!?」
「まずは国から支給された防護服を着てパニックに陥っている患者達を落ち着かせろ。」
「わかりました…」
元村は腑に落ちなかった。
防護服を着るという事は自分自身も患者を見殺しにするようなものなのだ。
「まぁ、あの時国の連中が来て義務だからとかなんとか言って注射をうたれた時点で僕は患者を見捨てたようなもんだからなー…」
そう、院長およびこの病院にいる医師全員には鳥インフルエンザの予防接種がうたれていたのである。
しかし、一般人には予防接種があること自体知らされていない。
防護服など本当はなんの意味もないのだ。