「さぁ!ユキどうする?!」
いつもエリは突然だ。夜、ひさしぶりにエリから電話がかかってきた。
「何が?」
「ユキさえオッケーすればマサノブ付き合いたいんだって!ってタケが言ってたよ!」
「‥‥はぁ!!??」
『タケ』とはエリの彼氏で平井君と仲が良い。
つまりエリがタケに私の気持ちをチクってそれをタケが平井君にチクったらしい。
「なんて事を‥‥どうしよう。あ、あれ?‥‥でもなんで私?」
エリを叱るのも忘れて私はすっかりテンパっていた。
「いいよ」って一言だけでこんなに簡単に彼氏が出来るかもなんて信じられない。
「エリ、どうしよう…。」
「返事は直接マサノブに伝えなさい。じゃ!」プツ
ここまでかき乱して最後は放置かよ、エリめ…
私は平井君の顔を思い出し、返事をなんて言ったらいいのか悩んだ。でも考えるほど緊張してきて、
「とりあえず明日も教室から出ないように、平井君に会わないようにして時間を稼ごう…」
なんだか逃げ腰な自分が嫌になってくる。
胸が苦しくなるこの気持ちが『恋』だと認めるのが恥ずかしかった。