「やった!!学校行かなくていいんだねっ」
無邪気に喜ぶ息子を見ながら元村由紀子は悩んでいた。
夫である直樹はきっと
病院内に隔離されるか
あるいは正義感の強い彼のことだ、保健所に行きインフルエンザ患者を助けたいと言い出すかもしれない。
なぜ夫は開業医ではないのだろう?
今さらになって勤務医である夫に腹立たしさを感じた。
開業医なら国から言われた通り、訪れてきた患者を好きに追い返す事ができるし、インターホンで要件を聞く事も可能なのに…
そしてこの心細い状況もあの人がいてくれさえすればなんとか乗り越えられそうな気がする。
そんな事を考えながら国営放送のニュースをみていたのであった。