奈央と出会えたから。<300>

麻呂  2009-01-07投稿
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『龍二、ごめん。

あたし‥あたし‥‥。』



青山さんは動揺していた。



そうだよね。



言い訳すら、



考える余裕もないくらいに、



聖人とミズホさんの動きが早かったから。



『言い訳なんて聞いてねぇよっっ!!

てめぇ、よくも俺に恥をかかせてくれたな?!

俺は、てっきり聖人がオマエにちょっかい出したんだと思って、殴っちまったじゃねぇか!!

聖人は、俺が見込んだ唯一の男なのによ。

俺の後に、“魔羅威夜”を継いでもらおうとまで考えていたんだ。

それなのに、

俺は一瞬でも、自分が惚れ込んだ男のコトを疑っちまった‥‥‥。

サオリ。てめぇみてぇなクソ女に騙されるとは、俺も大したコトねぇ男よな?!』



京谷さんは、



金色の前髪を、ふわりとかき上げた。



その、



長い指先の間から見えた、するどい二重の瞳と、



整った鼻筋から、



青山さんが彼女になる以前から、



女のコの追っかけファンがたくさんいたという噂が、



改めて納得出来た。


その妖しい魅力は、


一体どこからくるものなのか、



聖人とミズホさんより2コ上の高3だって話は聞いていたケド、



なんか、



すごく大人の男のヒトって感じがした。


でも聖人の方がカッコイイもんっっ。



『龍二!!ごめん!!許して!!あたしを捨てないで!!

もう‥‥“クサ”の栽培も売りもやめるからサ!!』



青山さんは、



涙をぼろぼろ流しながら、



京谷さんに抱き付いた。



ケド、



京谷さんは、そんな青山さんの腕を振り払ったんだ。



『‥‥終わりだ。

てめぇとは、もう終わったんだよ。

女のてめぇを殴るワケにはいかねぇ。

とっとと俺の前から消えろ。

2度と俺の前にツラ見せんな!!』



『り‥龍二‥‥う‥‥‥あ‥‥あ‥‥。』



青山さんは、



その場にしゃがみ込んで、泣き崩れてしまった。

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