青山さんは、
京谷さんのコト、
本当に大好きだったんだって思った。
ケド、
なんで好きなヒトが嫌っていた、ドラッグになんて手を出したんだろう。
きっと、
青山さんは、自信があったんだね。
自分は、
京谷さんに愛されているって。
でも、
気付いたトキには、もう遅くて、
京谷さんの心は、
青山さんから離れてしまった。
さっきから側で、
冷静に2人のコトを見ていた聖人とミズホさんは、
やっとホッとした表情を取り戻しつつあった。
成沢さんは、
終始うつむきっぱなしだったケド、
最後に、
何かを思い立ったかの様に、
突然、ポツリと話し始めた。
『龍二。サオリは悪くないよ。
元々はあたしが、“クサ”の栽培の話を持ち掛けたんだ。
サオリが遊ぶ金が欲しいって言うから、
“クサ”を売って金を儲ける話をね。』
『そんなコトどうでもいい。
俺は、サオリに裏切られたコトが許せねぇ。
成沢が“クサ”の栽培の話を持ち掛けたって、コイツが話に乗らなきゃいいだけの話だ。
ケドもう、
サオリとは終わりだ。
後は、“クサ”の栽培で“カンベツ行き”になろうが、
中毒でイカれちまおうが、
俺には一切関係ねぇコトだ。』
そう言うと、
京谷さんは自分のバイクにまたがった。
成沢さんの、
青山さんに対する必死の弁護も、
虚しく終わった。