そんな事を考えながらぼんやりしていた。
次の授業は確か地理だったなぁ…。
「…慎弥さん」
声がした方を向くとそこには少し哀しげな表情を浮かべた幸姉が立っていた。
――こんな表情の幸姉を見るのはホントに久しぶりだ。
「どうしたの、幸姉」
何か嫌な事でもあったのだろうか?
「あの…」
「うん」
「…」
幸姉は何かを言おうと口を開き掛けたがやがてゆっくりと首を振り「…何でもないです」と呟くように言った。
「…?」
一体何だと言うのだろう…。
「慎弥さん…」
「なに?」
「貴方は…」
「――――」
「えっ…」
ガララっ。
「よーしお前ら席に着け!これから楽しい社会科授業だ、さっさと範囲進めるぞ」
「…それでは」
先生が戻ってきた後幸姉は軽くお辞儀して席へと戻っていった。
「幸さんと何話してたの?」
何か今までと違う空気を感じ取ったのか怜は席に戻るやいなやそう聞いてきた。
「いや…」
俺はその質問に答えなかった。
「何でもないよ、ちょっと社会情勢について語ってただけだから」
「?…へぇ、そう」
そう言って興味無さげな顔をした後怜は席に着いた。
「…」
『貴方は…』