大学一年の春。
入学から2日目の朝、あたし達は出会い、友達になった。
『滝』と『滝口』。
たった漢字一文字しか違わないあたし達は、毎日、授業もお昼も、帰り道さえ一緒だった。
そして、当然のように同じサークルへ入会した。
大学内で一番大きなサークルだった。
かっこいい先輩、可愛い先輩、面白い先輩に、ちょっとウザイ先輩。
本当に色んな人がいるその場所で、まるで本物の姉妹のように、あたし達はどんどん仲良くなっていった。
そして。
あたし達はそこで、初めての恋をする事になる。
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大学一年の初秋。
長期休暇も終盤に差し掛かり、自宅でくつろいでいたあたしに滝から一本の電話が入る。
『桂木先輩に告白された。』
だいたいそんな内容。
実際、その事実以外は全く頭に入ってこなかった。
頭がガンガンした。
どうしようもないくらいに動揺して、
『え…っと、、付き合うの?』
そう、声に出すのが精一杯だった。
桂木悟(かつらぎさとる)。
4年生の先輩。
軽い、遊び人、女好き、適当……そんなイメージの先輩だった。
とても滝と釣り合うとは思えなかった。
滝は、大学に入学するまでの小・中・高、全て女の子だけの世界で生きてきた。
身長も小柄で、『自称153cm』。
つまり、更に2cmは小さい。
いわゆる『守ってあげたくなるお嬢様タイプ』だ。
当然のように、今の今までに全く男性経験はなかった。
そんな滝が、桂木先輩からの告白に対して出した答えは、『YES』だった。
それを聞いた瞬間、あたしの心には、ただ一つ。
小さな喪失感だけが残った。
そして。
この二人の付き合いが、後の『2人×2人』関係への足掛かりとなってしまう。