ところ変わって保健所では、直樹の怒鳴り声が響いていた。
「なぜです!?!?なぜ、僕は働かせてもらえないのですか!?!?」
「だから何回も言ってるぢゃないですかぁー。ウイルスの感染者が出始めてから、家族のために貴重なタミフルや予防接種の道具を盗む医者が増えたので、国が認めた医者しか働かせてあげられないんですよ。残念ですが諦めてください…。」
係員がうっとうしそうにさっきから何回言ったであろう説明をし続けている。
「僕はそんな事しません!!ただ感染者を助けたいだけなんです!!」
「そんな事言われてもねぇ…
私の一存で決められるような事ぢゃないんで」
「お願いしますっ!!そこをなんとか!!」
係員の胸倉をつかみながら叫び続ける直樹にしびれを切らした誰かが警察を呼んだらしく、遠くからパトカーのサイレンが聞こえてきた。
このまま捕まるわけには行かない直樹は係員を突き飛ばし逃走するしかなかった。