「コメット、君が言いたい事はだいたい理解できた、可能かも知れないと思った。」
「それじゃあ!」
コメットは勢い良く立ち上がり、机変わりにしていた木箱の上の紙に汗で湿った掌を置いた。
前傾姿勢で近づけられた顔から眼をそらす様にコメットの膝まで視線を落としたのはユニコーンだ。
「でも僕は反対だ、可能かも知れないが不可能かもしれない、一か八かの運試しに人生を賭けるのはゴメンだ。」
「そう…じゃあユニは死ぬまでこの城の中で奴隷として主人の言うことは何だってきく、不用の時は鉄ごうしの冷たい部屋、まるで牢獄。それでも良いの?
私は人生を賭けてでも普通になりたい。」
ユニコーンは手の届かない位置にある窓から綺麗な青空を見て動かなかった。
窓の外には普通が広がっている
生まれ手から今まで16年間
夢みてきた普通が…