怜がそう言った後彼女に向き直り。
「と言うわけで、あなたの事奏って呼ぶことにするけど良いかしら？」
と聞いた。
「はい…分かりました」
彼女――奏はそう言って頷いた。
「よっしゃ、決まり。じゃ」
怜は彼女にそう言って手を差し出した。
「これから宜しくね、奏ちゃん」
屈託の無い母性さえ感じられる微笑みを浮かべて怜は言った。
「…はい…此方こそ御願いします、怜菜さん」
一瞬戸惑ったようにしたあと奏は怜の差し出された手を握りそう言って笑みを浮かべた。
「あ、笑った！お兄ちゃん、かなちゃん笑ったよっ！」
早速あだ名を付け麻衣はその事が余程嬉しかったのか、はしゃぎながらそう声をあげた。
「はは、麻衣ちゃん。それは赤ん坊に言う台詞だよ」
「あ、そっかぁ」
そう言って照れ笑いを浮かべる麻衣。
「さて、名前も決まったことだし…」
そう言いながら遼は身を乗り出した。
「改めて自己紹介しないとな。俺、如月遼」
と、遼は奏に手を差し出した。
「宜しくな」
「…はい」
こくん、と頷き奏はその手を握り返した。
「次は私ですね。私の名前は春日幸音。以後お見知りおきを」
ニコッと笑い幸姉は奏と握手を交わした。
[234] 
[0] 
[0]
