空を見上げながら幸音は声を絞り出した。
只でさえもう、狂っているのだから。
「…」
自由に成りたかった。
自由に成ってみたかった。
空を見てみたかった。
外を眺めてみたかった。
そんなモノを欲しがったから。
そんなモノを欲しがらなかったら。
変えられません。
――変えてはなりません。
どうしようもありません。
――どうしたくもありません。
破ってはなりません。
――破ろうとしてはなりません。
従わなければなりません。
――従わないとなりません。
守らなければなりません。
――守ろうとしなければなりません。
それが…約束。
じゃなければ…。
何のために…?
「…あはは…あは…あはははははっ…あはっ…あははははっ…ははっ…あははははははははははははっ!」
幸音は笑っていた。
一人、嗤っていた。
何かを諦めてるかのように。
何かが愉しいかのように。
何かが狂い出したかのように。
一人…ワラッテいた。