[〇〇中学校にて]
(キーンコーンカーンコーン・・・)
「席につきなさーい!」
教室の中がざわついて
いる。2分後、ようやく 生徒が全員席についた。
「出席とります」
出席確認が取れたら
すぐ1時間目が始まる。
「ねえ、山本くん」
「うん?なに?」
隣の席の相沢とゆう女の子が話しかけてきた。
相沢は僕の顔を
見つめている。
「・・・!!?だからなに?」 「あの・・・好き・・・」
「え・・・」
この時、一瞬時間が
止まった気がした。
よりによっていまは
授業中。そのやりとりが
聞こえた生徒がざわついていた。
「そこ!静かに!」
いま話すと話が筒抜けに なってしまう。
「ちょっと待って!
放課後、話そう」と
小声で相沢に伝えた。
それまでの間、僕は
どうしていいか
分からなかった。
(どうしよう。なぜ、あのタイミングなんだ?でも 相沢はちゃんと想いを
伝えてくれた。その期待には応えよう」
放課後、僕は相沢と
図書室で待ち合わせた。 今日は誰もいなかった。
「お待たせ」
「うん・・・」
相沢は僕の返事を
心待ちにしている。
「なんで?」
「え?」
「なんで俺なの?」
「なんでだろう、
でも・・・好き、うん」
「そっか。でも、俺さ、 好きな人いるんだ」
「・・・」
相沢は何も言わず
飛び出してしまった。
図書室に残された僕は
複雑な気持ちだった。
翌日、いつも通り
教室はざわついている。
相沢をチラッと見ると
やっぱりさえない顔を している。
いつも通り授業が始まり 学校が終わった。
相沢が帰ろうとした所を 呼び止めた。
「相沢!話がある・・・」
屋上に来た。
「相沢・・・その・・・」
「もういいよ」
「相沢・・・」
「あたしね、考えたの。 どうしたら山本くんの こと忘れられるだろう
って・・・」
「うん・・・」
「でもね・・・でもね・・・
無理だった。無理だよ、 そんなの・・・」
相沢は泣き崩れた。
「ありがとう、相沢」
「え・・・?」
「そんなに俺のこと、
思ってくれて。でも、
やっぱり自分の気持ちに ウソはつけないんだ」
「うん。分かってる」
「ごめんな・・・」
「片想いでいいからこのままでいさせて?」
「わかった」