『ケッ。女ってめんどくせぇ――。』
カチッ――
一言つぶやいた聖人が、
煙草に火を点ける。
『あっは♪
奈央ちゃんと秋田谷さん、ビックリしたでしょ?!
ごめんね。隠してて。
あたし、元番長だったんだ♪』
笑顔のミズホさんは、
やっぱ、可愛い。
普段は、
こんなにキュートなヒトの、
どこに、
さっきの迫力が隠されているんだろうって思った。
『あの‥‥ミズホさん。』
『なぁに?!奈央ちゃん?!』
『さっきは、助けてくれてありがとうございました。』
『なぁに言ってんのヨ!!
だって、あたし奈央ちゃん大好きだもん!!』
ミズホさんは、そう言って笑った。
『ユカも‥‥体当たりで青山さんから守ってくれてありがとう‥‥。』
そう、
あたしは、ユカにも助けられたんだ。
『何言ってんのよ。
あたしも奈央のコト‥‥大好きだから‥‥サ。』
ユカも、そう言って笑った。
『女って怖ぇな?!
ミズホが録音したICレコーダー聞いてて、
俺、マジ怖ぇって思ったぜ?!』
そして、
聖人も――
『奈央ちゃん。
奈央ちゃんの危険を察知して、
直ぐに、あたしに連絡くれたのは、聖人なの。
女同士の問題だから、元番長のあたしに任せたかったんだって。』
それは、
ミズホさんが小声で、
あたしに、こっそり教えてくれた言葉だった。
ありがとう、ミズホさん。
いつも、
あたしに優しく接してくれて。
ありがとう、聖人。
いつも、
あたしのコト、
守っていてくれて。
そして、
ありがとう、ユカ。
あたしも、あなたのコト、
“シンユウ”って思ってもいいかな――
みんな、ありがとう。
あたしは、
あたしは、
幸せ者です――