僕、日常、神様、悲壮6

hiro  2009-01-14投稿
閲覧数[519] 良い投票[0] 悪い投票[0]

「吉川、そ、その怪我…」
松井が困ったような顔で言った。
いつものように、殺風景な田圃道を歩く。
「昨日はどうなるかと思ったよ」
そう言いながら僕は、昨日のことを思い出す。
あの時柴犬が現れて、なぜか坂本は突然逃げ出した。
だけどすぐに門の近くで捕まったらしい。体育の先生に。
結局、坂本は少年院に送られることになった。
「ごめん、吉川」
「なんで松井が謝るんだよ」
「あの手紙、俺が入れたんだ」
昨日、坂本が言っていたのを思い出した。
「坂本に脅されたんだ、やらないと殺すって」
あぁ!だから昨日松井は、トイレに行くと言って学校に走って行ったのか。
僕より先に行って、こっそり靴箱に手紙を入れる為に。だけど慌てていて、横田のとこに入れてしまったのだ。
「別にいいよ。気にしないで」
そこで、あのおじさんとタロウが見えた。
「おはようございます」
「あぁ、2人とも、おはよう」
めずらしく、おじさんの元気がない。
「どうしたんですか?」
「実は、昨日私の息子が同級生に怪我をさせて…」
僕はドキリとして、頬の傷を隠す。
「少年院に送られたんだよ。とてもショックでね」
まさか、このおじさん…。
「失礼ですけど、おじさんの名前は?」
「坂本だけど…、まさか君が?」
被害者の吉川です、とは言わなかった。そうだと知ったら、おじさんが僕に無駄に気を遣うかと思って、嫌だった。
とりあえず、タロウの頭を撫でる。
「あっ、そういうことか!」
僕は名探偵になった気分だ。
ー続くー



投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「 hiro 」さんの小説

もっと見る

ノンジャンルの新着小説

もっと見る

[PR]
〇beauty hand〇
海外セレブに人気


▲ページトップ