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桜がちょうど見頃になるこの時期は、
いつだって、
あたしのバースディと重なる。
そう、
あたしの大好きな桜の花が、
一番キレイに咲き誇るトキ――
いつもの公園の桜並木を、
あたし達は歩いていたね――
『わぁ、見てっっ!!聖人!!
桜の花びらがすごくキレイ‥‥。』
風と共に桜の花びら達が、
くるくると、
地面の上に、
舞い降りて来る――
『ピンクの‥‥雪みてぇ。』
『うん‥‥そうだね‥‥‥。』
ひらひら、
ひらひらと――
本当に、
ピンク色の雪が、
積もっているみたい――
『奈央。誕生日おめでとう。
14歳のバースディ♪』
あなたは少し照れながら、
あたしに、
おめでとうって言ってくれたね――
『なぁに?!
あっ?!もしかして‥‥‥。
中見てもいい?!』
14歳のバースディにもらった、
聖人からのプレゼント――
『わぁ!!嬉しいっっ!!
“いわさきちひろ”さんの絵本だぁ!!』
『奈央が探してたヤツってソレだろ?!』
『うん!!すごぉい。
これ、本屋さん探してもなかなか見つからなくって‥‥。』
『よかった。喜んでもらえて。』
『ありがとう!!聖人!!
あたし、大切にするね!!』
聖人。
きっと、すごい探してくれたんだろうな。
あたしの為に。
何軒も何軒も、
本屋さんを回ってくれたんだろうな。
『俺のガラじゃねぇから、買うトキ、ちょっと恥ずかしかったぜ。』
『あはは。何か想像つく。』
“いわさきちひろ”さんの絵本の話――
ちゃんと聞いてくれてたんだね――
『聖人とあたし。
またひとつ違いになっちゃったね。』
『ハハハ。そうだな。』
ピンク色のじゅうたんが、
あたし達2人の足元に、
ずっと、
ずっと、
続いていた――