カチャっと銃の音が客席に小さく響いた。状況は明らかにエドの方が有利だったが、ウランは不気味な笑みをこぼしていた
「何がおかしい?」
「銃が持てないのは確かだ。しかし、始めから袖に銃を仕込んでおけば問題は……ない!」
ウランが笑みを消した瞬間エドはその場を離れようとしたが、ウランが仕込んでいた小型銃がエドの腹に2発の弾丸を浴びせた
「ク……ソッ…」
エドは吐血して膝を着いて俯せに倒れた!!
〜ダル〜
(くそ〜ぉ……AISの時でもこんなゴツい奴はいなかったぞ)
ダルは半べそをかきながらヘリウムを見るがヘリウムはそんなの関係なしに攻撃してくる。ヘリウムは無駄にガタイが良いため一発をまともに食らえば即アウト……さっきはエドがクッションになったからダメージはそれ程無かったが今はもういない。しかもヘリウムの後ろに下への階段はあった。さらに最悪な事に屋上には武器になるような物が一切無かったのだ
(この状況どうしよ?)
ダルは冷静に今の状況を分析した。AISの時はその場その場の物を使って生き延びれたが今回はそうもいかない
そう考えているうちにヘリウムの方から突っ込んできた!が、パワーがある分スピードが無いようで紙一重でかわせれた
ダルは避けながらもパンチを脇腹に当てるが鎧みたいな筋肉のせいで攻撃は効いてない様だ
(もう5発も当ててるんだぞ!)
ダルは距離をとったついでに腕時計を見るとあれから3分が経っていた。つまりニッケルがラドンの元まで着くのに残り7分。焦りを感じたダルは一か八か全体重をかけ飛び蹴りを食らわせる
「グフッ」
見事腹に的中して今まで無表情だったヘリウムの表情が歪んだ!効いている。ここにきて始めてダメージを与えれた。ダルはチャンスと思い蹴りを顔に当てようとしたら
!!?
何と右足を掴まれ宙吊りさせられた!ヘリウムとの身長差は30cmもあるので手が全く床につかない
ダルは(ヤバい)と思い必死にもがくが無意味だった
「さっきの蹴りは流石に効いたぜ」
ヘリウムが不敵な笑みを浮かべて言うと
「えっ?そう?」
ダルの顔が一気に青くなった。嫌な予感は見事に的中した
パッと手を離してダルが浮いた瞬間ヘリウムのパンチがダルの腹にクリーンヒットした!!