「真っすぐ行きまーす」
「カーブ行きまーす」
入学当初、バラつきのあった隼人の制球も徐々に落ち着いてきた。
球を受ける仁藤も手応えを感じている。
仁藤「よーしじゃラストー」
スーーーーーーーー
バスンッッッッッッっ
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
その頃、青山はバッティングセンターで暇を持て余していた。
ストライ〜ク!!
パーフェクト達成です!
青山「おら来たー!まだまだ腕はなまってねーな」
青山「おばちゃん、あっこのやつ(ストラックアウト)パーフェクト出したけど何か景品もらえんの?」
点数表を見せる
「はいはい、じゃあこれに名前書いて」
泉ピ○子風の店番のおばちゃんが用紙を差し出す。
青山は何か躊躇しながら苗字まで書き終え、何の気なしに壁に目をやると額に入った一枚の写真に目が止まった。。
東海中学校総合体育大会軟式野球大会優勝
三河第一中学校
青山「おっ一中って強かったのか」
整列した野球チームの写真にはメンバーの名前が載っている。
1 黒沢 隼人 3年
2 鈴木 正太 3年
・
・
・
青山「おばちゃん、この写真は?」
「あーこれかい、うちの息子がキャッチャーやっててね。ピッチャーの子がすごい子で、息子はいつもその子のこと自慢してたんだよ。」
青山が目を凝らして写真を見つめていると前列に中腰で賞状を持った隼人を見つける。
(あいつじゃねーか!!!)
「おばちゃん、そのピッチャーってまさかこの賞状持った…??」
「そーだよ」
青山(あいつ何で尾張ヶ丘なんかに…)
青山はそそくさとフルネームを書き終え、おばちゃんに用紙を返す。
「はい、じゃあ景品はこのカードだよ。バッティング10回分 ただで打てるからね」
青山はカードを財布にしまう。
「あんた、日系なんだね。いろいろあるだろうけど頑張んなさい」
おばちゃんが用紙を見つめながら優しく言った。
青山「どーだっていいだろ 」
照れながら、しかし何かが吹っ切れたように晴れ晴れとした表情で青山はその場を離れた。
青山 ロドリゴ 哲也
青山が書き残していった紙にはそう記されていた…