拝啓 井上 和宏様
お元気ですか?
紅葉がきれいな季節に
なりました。あたしは
現在、京都にいます。
新しい環境で、毎日が
宝探しみたいな感じが
します。ファションの
店で働いてます。今度、 是非来て下さい。では、 また貴方と会えるのを
楽しみにしています。
木下 咲
(あたしは、木下咲。
23さい。B型。
明るい性格で、自分勝手 なところがたまに傷。)
「井上っ、手紙が来てるぞ!」
監視員が和宏に封筒を
差し出す。
「ありがとうございます。」
和宏は封筒を開けた。
そして、咲の手紙を
読んだ。和宏は刑務所に
いた。もう五年経つ。
五年前・・・
咲が若者に襲われた。
「キャー!やめてっ!」
若者は咲のボタンを引きちぎり、暴力を振るう。
そこに和宏がやってきたのだった。
「おい!そいつを離せ」 「はっ?誰だてめえ。
引っ込んでろ」
「しょうがないな・・」
和宏は若者のうちの1人の手を掴み一瞬にして、 その若者を押さえた。
「もう、やめるな?」
その時、和宏はその若者 がにやけていたので気味が悪かった・・・
「なにが面白い?」
後ろに気配を感じ、振り向くとヤクザ風の男が
ナイフを持って襲ってきた。
「かず、危ないっ!」
和宏は反射的にその男を かわし、戦闘に入った。 男がもう一度向かってきた。そして、競り合った 瞬間ナイフで刺されたのはヤクザの男だった。
「なんで・・・俺が・・・
やった・・・・・」
「おっ、お前!終わり
だぞ。人殺し!(笑)」
「かずっ!逃げよ?」
和宏は放心状態だった。 和宏は咲に連れられて
逃げたが、若者たちが
警察に通報し和宏は逮捕
されてしまった。
裁判で下された判決は
懲役8年の有罪。
殺したことには変わりがないので和宏は言い訳もせずすべて認めた。
しかし、咲はすぐには
受け入れられなかった。
咲は警察に抗議したが
まったく相手にされなかった。
咲が面会にやってきた。
「かず・・・なんでホントのこと言わないの?かずは何も悪いことしてないじゃん!」
「ホントのこと?人を殺したのは事実なんだ。」
「でも、あれは自己防衛 だよ?」
「殺すなんて・・・
最低なんだ、俺は。
これは自分への罰でも
あるんだ」
「かずは最低じゃない」