何も言わず、ジョージは首を横に振る。
キャサリンは勢い、泣き崩れた。
すると…
「泣くのはまだ早いよキャサリン」
「え?」
セディから肩をポンポンと叩かれて、顔上げたキャサリン。
「安心おし。ルークはまだ、死んじゃいない」
セディの意外な台詞。
アースルが尋ねる。
「セディ婆、死んではいないって…どう言う事なのかね?」
出されている紅茶をすすりながらセディは、ルークに指差した。
「キャサリン、彼の体を触ってみてごらん」
「?」
言われるがまま、キャサリンはルークの体に触れてみた。
最初、触れた時は気が付かなかったが、改めて触れみると…
冷たくない。
今度は腕を取って、脈拍をみてみる。
脈の鼓動が、指に伝わって来ている事に、キャサリンは驚きを隠せない。
「ど、どうなっているんですかッ!?」
説明するセディ。
「体の方はちゃんと…
生きているんだよ。
意識はないけどね」
「植物人形みたいな、状態なんですか彼は?」
と、シェリー。
「そう」
セディの説明に、シェリーやキャサリン、アースルやジョージは目を丸くする。
ルークは死んではいない。
でも…
だからと言って、ルークは目を覚まさない。
「お婆さん、魂が抜かれているからルークは意識がないんですか?」
「ジョージの言う通り」
キャサリンが質問を続けた。
「ではルークの魂は、どこにあるんですか?」
「様々な巨人たちが暮らす北の魔界にいるよ」
「北の魔界?」
「この地上界とは別の次元にある、遠い極寒の世界だよ」
「ルークの魂は、その世界でどうなるんですか? まさか、食べられる」
「いや、おそらく…
人形に再生させられているかもしれない」
今度はジョージが質問する。
「ルークの魂が魔界にいるって事は…
人形たちはもう、向こうの世界に帰ってしまった事に?」
「勿論だよ。3姉妹一緒に帰って行った」
「では、キャロラインは今までどこにいたんでしょうか?」
「会わなかったかな?」
「ええ、会ってません」
「そんな事はないだろう? ずっと、傍にいたハズだよ」
「傍にいた?」